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加藤武 語りの会

加藤武 語りの世界(2013年9月22日日本橋亭)

「小沢昭一氏を偲んで」という副題を持って行われた、加藤武 語りの世界。演題は初演となる菊池寛作「身投げ救助業」と加藤武の語り物の原点とも言える吉川英治の宮本武蔵の火の巻から<風車>の二題です。

落語の入船亭遊一が「元犬」を一席。そして加藤の登場。当初から大きな反響を呼んだ今回は満員御禮で日本橋亭は立錐の余地ない大入。盛大な拍手の中。加藤は小沢氏との思い出をたっぷり語ります。

菊池寛のほぼデビュー作という「身投げ救助業」を表情豊かに仕方だくさんに演じ喝采を浴びました。そしてトリに吉川英治作宮本武蔵 「火の巻」より<風車>で満員の御客様を唸らせました。無事に公演終了できましたこと心より御礼申し上げます。

加藤武 語りの会


文学座の代表にして、舞台のみならず映画、テレビでの活躍は長きに渡り、今なおエネルギッシュな仕事を見せる名優、加藤武。
弊社では、2005年6月の初顔合わせで吉川英治氏の国民文学「宮本武蔵」の朗読をお願いして以来、連続して口演。東京のみならず神戸、静岡、仙台、十和田にも出向きました。さらに他の文学作品の朗読公演も意欲的に取上げてご好評をいただいております。


まるで舞台を見るかのような、語りの世界。


加藤氏の朗読は、一点一画を疎かにしない極めて謹厳なスタイルと申せましょう。といえども、長年の経験に裏打ちされた巧みな息抜きがあり、声量豊かですが、コケオドシの絶叫など皆無。自身が心酔する伝統古典話芸の長所を採り入れつつも、飽く迄も新劇俳優、加藤武の演技ルールを破らぬ自戒のようなものが見え隠れします。