第2回講談博覧会が無事終了しました。
「番組」
一龍齋貞山:義士銘銘伝「勝田新左衛門」(大竹重兵衛の朝風呂)
京山幸枝若(特別出演):浪花節「河内十人斬り」
中入
寶井琴星:「メーヘレン事件」(琴星自作)
一龍齋貞水(主任):緑林五漢録「木村の夜舟」
前座なしでいきなり一龍齋貞山の登場。
義士伝で名を馳せた六代目一龍齋貞山ゆかりの桐の紋付を羽織、
義士銘銘伝より「勝田新左衛門」は、貞山襲名でも演じました。
お待ちかねの京山幸枝若先生が大阪から来演。「河内十人斬り」はさすがに講談には入っていないと
思われますが、とにもかくにもお願いしました。先代譲りの十八番。
セクシーなテーブルかけにも注目です。演題に相応しいものです。
この日幸枝若先生は、腰を痛めて、珍しく腰掛けての高座ですが、美声は変わらず、
華麗な表現、女性の色気、婆さんの苦味には感動の一言です。
曲師は一風亭初月師匠。お弟子さんの幸太さんもお手伝いに来てくださいました。
中入後は、飄逸無類の寶井琴星先生の自作「メーヘレン事件」。
フェルメールの贋作作家の数奇な物語です。
主任が人間国宝の一龍齋貞水。熱意をもって取組む「緑林五漢録」から
「木村の夜舟」。船旅の風情や、仰ぎ見る美しい月、乗客の喧騒が鮮やかに浮び上ります。
凄み溢れる声音。細密な情景描写、第一人者ならではの名高座。
主役は旅の若夫婦から徐々に怪しげな道中師に移り、さらには作り盲の按摩も加わり、
悪漢の出合いとなる如何にも世話講談らしい名場面で引きごとの巧みさ、面白さも貞水先生ならではのもの。
65分を超える長講に、ご満足いただけたことと思います。